スパイスカレー歴10年の私が、電動ミルをやめて石臼「クロックヒン」に行き着いた話

台所と道具

スパイスカレーを自分で作るようになって、かれこれ10年近く経つ。これまでホールスパイスを細かくするときは、決まって「電動コーヒーミル」を使っていた。スイッチひとつでガーッと一瞬にして粉末になるし、何よりラクだからだ。

そんな私の10年来の習慣を揺るがすきっかけになったのが、もともと大好きで追いかけている水野仁輔さんの新しいレシピ本を手にとったときのことだった。

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スパイスは「挽く」のではなく「石で潰す」といいらしい

この本では、スパイスを「石臼で潰すこと」に深くフォーカスされていて、潰す道具や方法ひとつでスパイスの香り立ちがまったく変わってくるという話が書かれていた。

我が家にも、ごますり用の陶器製のすり鉢ならすでにある。けれど、どうやらタイなどで古くから使われている「石製」のすり鉢(クロックヒン)がいいらしいのだ。

なんでも、電動ミルのカッターで高速回転させて「切り刻む」と摩擦熱で繊細な香りが飛んでしまうのに対し、ずっしりと重い石と石で「押し潰す」ことで、均一に強い力が加わり、スパイスの細胞から香りのオイルが余すことなく引き出されるのだという。そんな話を聞かされたら、もう試してみたくてたまらなくなる。

日本の台所にも馴染む「ちょうどいいクロックヒン」を探す

とはいえ、本場の業務用の石臼はとにかく巨大で無骨なものが多い。いろいろと探し回った末に、家の台所に置いておいてもスッと馴染みそうな落ち着いた色合いで、置き場所にも困らない、けれど実用性はしっかり高い絶妙なサイズのクロックヒンを見つけて購入した。

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包丁で野菜の味が変わるように、スパイスも道具で別物になる

実際にこのクロックヒンでスパイスをゴリゴリ、トントンと潰してみて、本当に驚いた。これまで電動ミルで挽いていたときとは、立ち上る香りの鮮烈さがまるで違うのだ。

よく「野菜の切り方や使う包丁の切れ味によって、料理の味がまったく変わる」と言うけれど、スパイスもまさにそれと同じなのだなと肌で実感した。断面がどう壊れるかで、香りの開き方がここまで変わるとは思わなかった。

胡椒からナッツ、胡麻まで。毎日の料理が一段上がる

スパイスカレーを作るときだけでなく、普段の料理に使う「黒胡椒」も、これまでの電動ミルからクロックヒンで潰すスタイルに変えてみた。

  • 粒胡椒が別次元の香りに:食べる直前にクロックヒンで粗く潰すと、フルーティーでパンチのある風味がダイレクトに弾けて、いつもの料理が驚くほど垢抜ける。
  • ナッツや胡麻のすり潰しにも最適:石の重みのおかげで力がいらず、硬いナッツを砕いたり、胡麻をすり潰したりする作業もあっという間。しかも油分が詰まる溝がないから、洗うのも拍子抜けするほど簡単だ。

電動の便利さも捨てがたいけれど、石の重みに任せてトントンと素材を潰し、ふわっと立ち上る香りを吸い込む時間はなんとも言えず贅沢だ。

10年作ってきたカレーも、毎日のちょっとした一皿も、道具ひとつでまだまだ美味しくなる余白があるらしい。クロックヒン、お迎えして本当によかった!

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